「化粧は身だしなみ」と言われていますが、私たちはその身だしなみのために肌を痛めているのかもしれません。
化粧品はさまざまな化学物質を組み合わせて作られています。肌に良いものかどうかを知るためには、ひとつひとつの成分について知る必要があります。
ここでは、化粧品に含まれる成分の大まかな分類と化粧品による肌への影響を少なくする方法をご紹介します。
【化粧品に使われている成分】
化粧品のパッケージを見てみると、そこには化粧品に含まれる成分が記載されていますが、その意味を理解するのは非常に困難と言えます。
そこで、化粧品が主にどのような成分で構成されているのかを挙げていきたいと思います。成分はどれも一長一短で、この成分が入っているからダメというわけではなく、全体的なバランスを見ることも大切です。
「合成界面活性剤」
人の皮膚は、汗(水)と皮脂(油)によって、天然のクリームと呼ばれる皮脂膜をつくり、外から有害なものが入ってこないように肌を守っています。
しかし、界面活性剤は、水や油など混ざり合わないものの界面(表面)を変質させるという性質があるため、この天然クリームである皮脂膜の性質も変えてしまいます。
そのため、肌の上に界面活性剤をのせた状態が長時間つづくと、皮膚膜がどんどん薄くなり肌が弱くなってしまいます。
(石油由来の合成界面活性剤ほど、天然由来の界面活性剤の機能は高くありませんが、長時間、肌の上にのせた状態がつづくと、肌に負担がかかります。)
そのため、皮脂による肌のバリア機能を壊すために、皮脂が過剰に分泌し、ニキビなどの肌トラブルの原因になります。
「合成ポリマー」
化粧品の一番の目的は、肌の保湿です。肌が乾燥してしまうと、ニキビやシワ、シミができやすくなり、細菌などから肌を守ることができなくなります。合成ポリマーでできた化粧品を使うと、皮膚の上に塗られた合成ポリマーは、徐々に水分が蒸発し、薄い皮膜のようになります。
これは皮膚内部の水分を逃さないように、ビニールで皮膚を覆った状態(料理に使用するラップを張った状態)になるため、見た目はつるんとした美しい肌を手に入れた気がします。合成ポリマーは水分を吸収、保持することで肌をしっかり保湿します。
肌の表面をしっかり覆う分、水分や油分の通過を妨げます。もともと肌は皮脂やセラミドによってある程度の潤いを保つことができます。しかし、合成ポリマーを使い続けることによって肌本来の機能を壊す恐れがあります。
「油性成分」
ミネラルオイルや植物油、動物油はメイク用品を固めるために使われたり、肌と化粧品を密着させるために使われたりします。植物油や動物油は天然素材で肌に良いイメージがあるかもしれませんが、石油由来のミネラルオイルより劣化しやすい短所があります。
肌を乾燥させ、皮脂を過剰に分泌させる恐れがあります。また、油性成分はメイク落としを使わないと落とせないために、肌への負担が大きくなります。
「合成色素」
ファンデーションやチーク、アイシャドーとメイクでさまざまな色を楽しむことができるのは合成色素があるからです。色素には天然のものもありますが、多くが石油由来の合成色素です。
海外で禁止されている合成色素が日本で認められていることもあります。合成色素のなかには発がん性物質を含むものもあるので、注意が必要です。
「メイク落としって肌に悪いの!?」
メイクはしっかり落とさないと肌の老化を促進させ、乾燥やニキビなどのトラブルの原因になります。しかし、そのメイク落としも肌トラブルの原因になるので注意が必要です。
メイク落としは、メイクなどの油性成分を落とす必要があるために、界面活性剤などを含みます。これは、皮脂による肌のバリア機能を壊すために、肌の乾燥やニキビを引き起こしてしまうことがあるのです。このようにメイクもメイク落としも肌にはマイナス要素があるということを覚えておきましょう。
☆化粧品から肌を守るために気を付けたい5つのこと
化粧品から受ける肌ダメージを少なくするためには、次のような方法があります。
- 可能なかぎり天然成分由来の化粧品を選ぶ。
- 界面活性剤不使用のメイク落としを選ぶ。
- メイク落としによる肌負担を軽減させるためにメイクの厚塗りは避ける。
- メイクによる肌負担を軽減させるために、メイク前に十分な保湿をし、メイクの厚塗りを避ける。
- メイク落とし後にしっかり保湿をする。
【まとめ】
化粧品は肌をきれいに見せてくれますが、肌にとってはマイナス要素も含んでいます。化粧品を使うときに大切なことは、肌のバリア機能を守るための保湿を怠らないことです。
ぜひ化粧品に使われている成分をちゃんと知った上で、使うか使わないか、使うとしたら自分のお肌に合った化粧品を選び、毎日のお化粧を楽しみましょう。